はかない生命にみる悠久の刻
北海道立近代美術館学芸員 久米淳之
宮川美樹は、一貫して水彩、アクリル絵の具といった水溶性の絵の具によって制作を続けている。 壁や地面を細密に描写し、その地の上に何かしら小さなものを置くことで、画家特有の詩情を編んできた。 そして1985年以降現在までは『刻』を画のテーマとして描いている。
寄せては返す、波の泡。 洗われ続けたためか黒ずんだ砂上に横たわっているのは、すでに朽ちた者たちである。 ここにみられるのは、まぎれもなく生と死の象徴であり、そしてそれを紡いでいく悠久の時の流れである。 (中略)
焦点を極めて近距離に結んだちいさな対象に、画家は生命のきざむ刻をみる。 息を止め静止したものたちが、時間という海原をたゆたいながら、確かにそこに存在する。 足元に見るちいさな「消えない水泡」は、画家がたどりついたひとつの大きな画境といえるだろう。